アドバイザーとして

 岩手県立大学在職中、学生ボランティアセンターのアドバイザーでを担っていました。センター長とか、そういう役職もアリかもしれませんが、それでは「学生が主人公」にはなりにくいと思います。学内に「学生VC運営委員会」のような組織もありません。というか、つくらないようにしました。いろいろな場面で、機動力、瞬発力を発揮するには、そうしたものはいらないと考えたからです。そのかわり、学生たちの動きやすさ、想いを形にする際のプロセスを大切にし、マメにアドバイス(アドバイザーですから)することに心がけています。時にそそのかし、学生とともに。


1.方向は定めるが、ねらいは絞らない

自分たちがやろうとすることについては、およその目標は持つ。しかし、そのことで何を達成するのか、どのような結果にいたることが正しいのか(至らねばならないのか)ということにこだわりすぎない。ねらいは小さく絞れば絞るほど、達成できる確率は低くなる。それを失敗と呼ぶならば、失敗は自分自身を否定する絶好の材料になるのだから。


2.ふりかえりすぎると、足元にある大切なものを見落としてしまう

通り過ぎたモノゴトに対し、反省や後悔、評価することは大切。イイコト、ワルイコト、そこからの学びはとても大きい。しかし、ふりかえるタイミングを間違わないようにする。まさに今、歩き続けねばならないならば、ふりかえることは少し後回しにしてみる。ふりかえりながら、歩くということは足元を見落とす。それが石ならばつまづく危険性があるし、花ならば心を癒す機会を逃すだろう。


3.歩き出したからこそ、見えてくる風景がある

行き先や道のりを慎重に予測して、起こりうるであろう事態に備える。まさに「備えあれば、憂いなし」…ということは大切だ。しかし、徹底した準備が行き過ぎると、“やり遂げるための準備”が、いつの間にか“備えの大量生産”に終わってしまう。想像力があればあるほど、準備段階で無限の“憂い”を描いてしまうもの。たとえば坂をのぼりきった先に、草原があるか、海があるが、断崖絶壁か、あるいは行き止まりか…そんなことは、歩き出さなければわからない。


4.はみださなければ、新しいことは生まれない

「今までのやり方で…」、「いつも通りに…」、「○○がこれで成功していたから…」、それらは確かに安全で安心で、うまくいく可能性は大きい。労力も少なくて済む。過去の事例に目を向けるなとは思わない。しかし、前例のないこと、誰もやってはいないけどやるべきこと、やらねばならないこと、今のやり方ではマズイコトが世の中にはたくさんある。そんな時は、はみ出すことだ。常識からはみ出せば非常識と思われる。でもそこからアタラシイコトが生まれる。


5.コトをおこすために必要なもの…それは“覚悟”だ

プロジェクトをおこす、動かす、維持する、成し遂げる…いろいろな場面で、求められるものがある。企画力、段取力、コミュニケーションやコーディネートの力、リーダーシップ…それらを持ち合わせ、あるいは学びながらコトはおこり、進んでいく。しかし、はじまりの場面、継続の過程、さまざまな時を支えているのは“覚悟”だと思う。覚悟とは、さまざまな状況に対応する心構えであり、自分自身を信じ、仲間を信じるという“愛”だと思う。


6.プロセスを楽しむ

意気込んで、形から入り、知識で武装し…というよりも、わくわく感のある妄想からスタートし、形にしていくプロセスを楽しむ。


7.想いをこめる

正解を知っているオトナはプロセスを大切にせずに、“あるべき像”や“理想の形”だけを強調して示す。すると“その通りにならなかったら失敗”ってことになる。作られていくプロセスに一生懸命な想いがある限り、それはどんな形になっていっても失敗ではない。


8.活動のねらいは地域にある

目標を立て、それを達成するために計画し実行する。その結果を目標から引き算し、その差に一喜一憂する…ということはしない。活動のねらいは地域にある、そこに生きる人の姿にある。目標は計画を進める過程で、少しずつ見えてくる。活動者の思い込みで目標を定めるのは危険だ。


9.状況に流されてみる

やろうとしていたことが、企画を進める上で全く違う方向へと進み始めることがある。それを受け入れるしなやかさが大切だと思う。“やろうとしていたこと”にこだわりすぎると、本当のニーズを見失う。いい意味で“状況に流されること”で、ニーズを満たす活動が生まれる。



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2014-05-16 | Posted in 学生ボランティアセンター, 岩手県立大学, アドバイザーComments Closed 

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